てんかんPHR(personal health record)を利用した遠隔診療推進のモデル形成

難治てんかんの患者さんは約30万人※1 専門医は714人且つ、都市部に集中※3

てんかん診療の地域格差をなくし、よりよい治療環境のため患者と家族・かかりつけ医と専⾨医とでつくる、
新しいてんかん医療
がスタートします。

NCNPてんかん研究班*(正式名称は下記)は、てんかん診療の「均てん化** を目指しかかりつけ医と専門医をつなぐ、オンライン診療の取り組みを進めています。

「てんかん医療の均てん化」と
「かかりつけ医とてんかん専⾨医」との連携

「てんかん医療の均てん化」と「かかりつけ医とてんかん専⾨医」との連携

てんかんは100人にひとりが罹患。患者数は全国で約100万人。
しかしながら、てんかん専門医は714人※1。その多くが都市部に集中しています。てんかん専門医が県内に1〜数名しかいない地方もあります。
地方に住む患者や家族の「専門的な治療を受けたい」と声が多い中、遠方の病院に通わなくていけないなど様々な課題があります。このような状況から「均てん化」が必要な病気です。

一方で、てんかんは発作の緊急対応など地域医療の迅速な対応が必要な病気です。
そのため、オンライン診療の実現だけではなく、かかりつけ医とてんかん専門医との連携がより良い治療環境を整える鍵となります。

※1 2020年度てんかん地域診療連携体制整備事業てんかん診療コーディネーターWEB研修・全体会議「てんかん地域診療連携体制
整備事業2020年度全国てんかん対策連携協議会」国⽴精神・神経医療研究センター病院てんかんセンター中川栄⼆

医師と患者家族、⺠間企業が共同実証

「てんかん医療の均てん化」と「かかりつけ医とてんかん専⾨医」との連携

医療従事者の視点だけではなく、実際にオンライン診療を利用する患者家族の視 点、課題抽出をシステムに活かすIT企業の視点も取り入れ、実証を繰り返してい ます。
開発に参加した患者家族からは、「診療時に患者から医師に病状を伝える難しさ 」や、「通院へのストレス」など、多くの課題が上がりました。
患者家族からあげられた課題を、医師・システムエンジニアが一体となり、シス テムに取り入れ、社会課題である均てん化に挑戦しています。

⽇本初の特定疾患向けPHR機能を実装した
オンライン診療システムと今後の課題

⽇本初の特定疾患向けPHR機能を実装したオンライン診療システムと今後の課題

今までオンライン診療では、診察時の情報の少なさにより、的確な診察ができないとの指摘がありまし た。 本取り組みでは、患者と医師が患者の発作や服薬・体調などのデータからなるPHR(PersonalHealth Record)を共有しながらオンライン診療を実施することで、この課題をクリアできるかを実証していきます。

また、一方で様々な理由で発作や服薬の記録をとっていない患者や家族も多く、より良い診療のために患者自身が発作記録をとる重要性を訴える啓発活動も、同時に行ってまいります。

お知らせ

2022年9月8日
本取り組みが取材されました。

* NCNPてんかん研究班:

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神・神経疾患研究開発費による研究事業令和4年度年度精神・神経疾患研究開発費てんかん研究班「持続 可能で先進的なてんかん医療と遠隔医療を用いたデータベースの確立に関する研究」てんかんPHR(personal health record)を利用した遠隔診療推進のモ デル形成

** 均てん化: